錯覚
玉記 玉
春はあけぼのダリの時間がトラウマ
憂鬱のポケット君はチューリップ
猫の子と半端な出会いして飼いぬ
光にも厚みありけり桜貝
シャガールとなれる錯覚夏は夜
ネオンテトラよ地下街は即興詩
箱庭に水の種類がふたつある
蛇苺枕草子にて飼われ
夕焼と書き夕焼が好きになる
秋は夕暮れ円相の起筆
川上に秋顳顬に兄が来る
触れて聴く石の言葉のつゆけしや
塩分が足りぬ八月十五日
延延と林檎と言葉齧りおり
赤い音して椿の実落ちにけり
冬はつとめて若冲の鶏冠
生命の木は赫し冬帝降りるには
蓋のない箱がきれいよ神の留守
チャプリンに天然色の寒卵
スタンディングオベーション既に凍滝
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